蠱毒
「もうそのジャンルは蠱毒だよ」
一ヶ月ほど前、畑違いのオタクから指摘された時の言葉だ。
私はとあるジャンルにハマっている。読む人によってはかなり気分の悪くなることを書くので、気をつけてほしい。
…と言って今日も愚痴を書こうと思っていたのだが、書こう書こうと考えているうちにどうでもよくなってしまった。怒りの感情は引きずり難い、というのは本当のことらしい。今はどうでもいい、という感情の方が強い。
どうでもいい、という感情の方が強いが、忘れてしまうのも癪なので備忘録のように書いておこうと思う。
ジャンル名を隠すのも早速面倒になったので言ってしまうがヒプノシスマイク君のことである。オタクでツイッターをよく見ていて周りに好きな人がいる、という人は一度くらいは聞いたことがあると思う。ヒプノシスマイク、解釈違い炎上騒動…みたいな話を。
それはコミカライズの出来の悪さから端を発し、脚本家の過去ツイートが漁られ暴露されることから始まり、更にその脚本家が反省を一切していない様子がお仲間さんからツイートされ燃え…そしてそれを見た全然ヒプマイを知らないオタクから「解釈違いとか(笑)」と煽られたり、同ジャンルファンから「これでジャンル降りるとか愛がない」とか言われるという、地獄のような様相を呈している。
ジャンル内は数多くの愚痴垢が作られ、またそれを叩きたい愚痴垢叩きが現れる…イタチごっこここに極まれりと言いたい勢いである。
一応それ以外にも、人気キャラの声優が飲食店の椅子に足をのせて座っている写真が燃えたり、女性マネキンのスカートの下を覗いた声優のツイートがあたかもそのキャラがやったかのように別の声優によって引用ツイートされて燃えたりホームページから設定文がサイレントで変更されたりスカートの下をのぞき込んで燃えた声優が「中傷ばかりする奴らとやりあって一つ学んだ事がある。奴らは攻撃する相手が 後ろを向いている時だけ強気なんだ。」というラッパーの名言ツイートみたいなやつを深夜にRTしてすぐRTを取り消して物議を醸したりなんだかんだ色々あったのだがあまりにもキリがないので割愛する。
まぁ様々あったのだが私としては辛かったことが一つ。
あまりにも推しの供給がなかった。それだけである。
最近ようやっと雑誌で特集されたり新規絵と新曲が発表されたりしたが、それまでがあまりにも長かった。
私の周りでまだヒプノシスマイクを好き、という人間のほとんどはシンジュクとヨコハマ推しだ。同担はどこに行ったのか?と言いたくなる。簡単なことである。彼女達は元ジャンルに戻っていった。「また供給があるようなら呼んでね」と言いながら。そうして新曲が決定した今、戻ってきた子は何人もはいない。一度割れてしまったガラスはそう簡単に元には戻らないのである。
少し距離をおきたいと思えば同ジャンルファンからは愛が足りないと叩かれ、疑問を呈すればアンチだ愚痴垢だと叩かれる。じゃあただ推しを見ていればいいのではと思っても肝心の供給が無い。
もうどうすればいいのだろうか。
なんて思って愚痴をこぼし、返ってきたのが冒頭のセリフというわけだ。
蠱毒。
昔同じ言葉を別の友人に使われたことがある。アイドリッシュセブンは蠱毒ジャンルだと。
まぁわからなくもない。気の狂ったファンを有している、それを許容しているファンの多いあのジャンルは蠱毒と言えなくもない。
だがあそこは供給がある。絵アドに目を瞑らなくてはいけないとか、原作者の言動に不信感しかないとか、そもそもパク要素が多い疑問に目を瞑らなくちゃ楽しめないとか、そこまで褒め称えられるほどストーリーがいいのかわからないとか色々あるかもしれないが新規絵と推しの供給が沢山あるのである。
そこを考えるとあそこはマイクよりよほど良い環境なのではないかと思えるのだ。
蠱毒の中にも上下があるとは驚きの発見である。正直狂気に塗れたファンの数は同じくらいではないかと思うのだが大元である壺(運営)のクオリティに違いがあったらしい。困ったものだ。
だが少し思うところがある。
これは友人に言われたことではなく、日々の愚痴垢観察ツイッターで見かけたことだ。元ツイを出せと言われても探すのが面倒なので、話半分に読んでほしい。
蠱毒と言われたジャンルは、何も上の2つだけではない。
松でも言われていた。刀剣乱舞でも言われていた。もっと昔ならカゲプロでも言われていた。
何が言いたいって、爆発的に流行ったジャンルは大体が蠱毒と言われているのである。
そして蠱毒と言われたジャンルが今どうなっているのか見ると、隣の芝生効果もあるのだろうが変なのがほぼいなくなって住みやすそうに見える。
刀剣乱舞はまぁ賛否両論あったが映画もあったし最近はゲーム環境がかなり変わったらしい(※個人の感想です)。松もブームは落ち着いたがその分長くハマりたいファンがマイペースに創作を楽しんでいる(※個人の感想です)。
どちらも昔は害悪しかいない、なんて言われていなかったか。なんせ嘘松と盗剣乱舞なんて言葉が生まれたくらいである。あと全然関係ないがあの言葉はどこから生まれているのだろうか。センスがすごい。色々な意味で。
閑話休題。
ここまでだらだらと書きすぎてしまった気がする。話が少し脱線してしまった。
ヒプノシスマイクは刀剣乱舞や松のように、いつか落ち着ける日が来るのだろうか。
あの時は大変だったけど…今は運営もファンも大分マシになったよねと笑って振り返ることができる日が来るだろうか。
私は来てほしいな、と思う。設定やキャラが崩壊しっぱなしのコミカライズも、誰も得しない声優の炎上も、愚痴垢の愚痴垢叩きという何を叩きたいのかわからなくなっていたファン同士の現状も、何もかも笑って流せる日が来てほしいと思っている。ただそれまで私がこのジャンルにいることができるのかがわからない。ふとうっかり元いたジャンルに戻ってしまうのかもしれない。
私は今日も、そんな蠱毒の中を生きている。
果たしてこの壺の中で私の推しへの心が生き残れるのか死んでいくのか、ただそれだけが心配である。